■創業までの経歴を教えてください。
DXに取り組む中で、自社や多くの中小企業が改革の進み具合に戸惑っていると感じました。中小企業でも積極的に改革する必要性を感じ、早稲田大学のスマートエスイー AI/IoTをコース履修し、その後 DXコースの本科で学びを得ました。
また、新規事業で医療機器の開発に携わり、医療現場を訪れるたびに無力感と怖さを感じました。そのため、医療、防災、介護の分野を学ぶことにしました。
大阪市の施策で、介護施設で2週間ボランティアとして働き、ITリテラシーの差や人の問題に直面しました。これらは中小製造業の課題と似ており、人とオペレーションの改革が必要だと感じました。
医療機器開発では 実際の医療現場を訪問し多くの医療従事者の方々に加え、実際に入院されている患者さんの声、保護者さんの声を聴くことができました。はじめは、何もできない辛さ、というか怖さに直面しましたが、人の健康を支えることの重要性を感じました。改めて、大阪大学 国際医工情報センターのMDDを受講し 医療機器デバイス開発を学び 不足する知識を補うこととしました。現場の声が原動力となりました。
これらの背景から、二ッチ分野で活躍する開発型企業を、デバイスの製造バックボーンとして支える。新たな企業の創出が必要だとの考えに至るようになりました。
■現在の事業に至るまでの経緯を教えてください。
大学卒業後、大手製鉄会社で働き、現在は流体制御機器メーカーの代表を務めています。29歳で代表取締役となり、企業を25年間運営してきました。大阪のベンチャー企業から始まり、国内外に拠点を設立しました。ニッチな産業分野に部品を供給しながら、常に新しいことに挑戦し続けまています。
■受託オペレーションで価値提供する、とは、どのようなサービスですか?
「Evolve as we practice.」実践しながら成長する。を活動の中心に掲げています。
事業が軌道に乗る中で、日本が強みとしてきた小回りの利く、中小セミ量産請負が空洞化しているのに気づきました。コロナ禍やAI時代に突入するなかで、デジタル化、国際化についていけない企業が淘汰され始めています。しかし、いくらトップや大手企業が改革の道を進んでも その受け皿となり、価値を具現化する量産企業が国内で力を失っている。
そこで、多くの取引先の開発型企業が直面するセミ量産受託に貢献する企業を設立することとしました。
多くの企業が高付加価値のある開発型企業へシフトしようとしていますが、実社会とつなぎ、価値を社会実装できる橋渡し役が必要だと痛感したからです。
また、DXというキーワードとは遠く、旧態依然とした体質から抜け出せない企業が多くあります。物流不足、地方の人手不足、就労人口不足に対し、デジタルを活用し、中小企業の柔軟な判断力と対応力を活かし、マシーンと人が共に成長できる企業を目指すことは、社会課題解決への挑戦になると考えました。
自ら、実際に受託し、実践し、実験工場として改革を明示する存在を目指す。
いずれは、水平協業し、製造業に縛られない別業態への展開も目指したいです。
■一からの立ち上げは、苦しくはないですか?
「Our vision of operational excellence」私たちのオペレーショナルエクセレンスとして、企業理念を掲げています。
立ち上げは非常に苦しいものです。これまでの事業では想像を超える困難がありました。しかし、多くの人の支えがあり、乗り越えてきました。それでも、一から事業を立ち上げるには社会課題に取り組み、私が起業したころのように、これからの世代に明るい未来を、現役で頑張る私たちの世代にまだまだ頑張れるというエールを届けたいと考えています。
従業員一人を採用することも、会計ソフトを選ぶことも、事務所の電話を設定することも、すべて自分で実行する必要があります。20年前より多くのサービスが立ち上がっているとはいえ、自身の事業として取り組む必要があります。
ただ、どんな時もビジョンと目標を忘れず、目的が何かを明確にして進むことの大切さは、これまで苦境に陥った時に学んできました。
■どういった人材を採用したいですか?
「In it with you.」「In it with machine.」 を掲げ、人(顧客、従業員、関係者)が協業し融合することを大切に あなたとマシンと一緒に挑戦します。
自ら目標をもって、スキルだけでなく 人として大切なこと、仕事が及ぼす人の幸せについて考えてくれる人を望んでいます。これをステップに、独立して新しい事業を起こしたい。という人が来てくれると嬉しいです。AIを使えば 昔よりはるかに質の高い情報やノウハウは手に入ります。どれだけ長く経営に携わったり、業界経験があっても 人としての素晴らしさは、磨き続けなければなりません。また、人によってありたい自分も異なります。関わる人、モノに感動して感謝して、切磋琢磨して 年齢や立場、背景に関係なく共に尊敬できる部分を見つけ成長できる人材が重要だと感じています。
やらない、と決めていることはありますか?
デバイスの開発です。
少しでも 多くの開発型企業を支える存在になる。という観点から それらをサポートするためのデバイスやサービスの開発、提供は行います。しかし、自社が製品化すると協業ではなく、競合となってしまいます。縁の下の力持ちとして存在し続けたい。と考えています。
■今後は、どの位の規模を想定していますか?
「Initialize by wizard」魔法を使うように、デジタル技術と人の融合で、実践する実験型受託生産に取り組みます。先ずは、取引企業5社と契約することです。2年以内で、なるべく前倒しで達成することを目指しています。
まずは、
- 理論:知識や新しい考え方
- 実験:現場で革新的なアイデアの検証
- 科学的検証:データに基づいた評価
- 実践:実際のビジネス環境での適用
を繰り返し実践できる体制づくりを目指します。
■事業の今後の方向性を教えてください。
「Towards a sustainable society.」を忘れずに、デジタル技術を魔法のように活用し、オペレーショナルエクセレンスで持続可能な社会を目指します。
2024年中旬までに、数社のセミ量産受託を実行し リードタイム1/2に寄与する仕組みづくりを模索したいと考えています。その後は、医療機器開発メーカー、ニッチ分野、スタートアップ企業をはじめとした分野を中心に、顧客の提供価値を最大化し、人とマシーンが共に成長する仕組みづくりの基盤を整備します。基盤整備が進めば、その基盤を共有し 連携していく仕組みを構築しサービスを仕組み化して 安定して安心して活用してもらえるプラットフォームの構築を目指します。将来は、異業種にその輪を広げていきたいと考えています。
■最後に、一言お願いします。
現在 ノーベルリンクは、産声を上げたばかりです。理想の実現に向け共に取り組んでいただける方を必要としています。協業して生み出せるオペレーショナルエクセレンスサービスを社会に提供したいと思います。各社が実現したい提供価値を 社会実装に漕ぎつけるサポート役となること、多くの社会課題への挑戦を目標にしています。少しでも弊社のサービスに興味を抱いていただけた方と感動を分かち合いたいと思います。
ノーベルリンクでは、一緒に働いていただける仲間、技術や情報を共に育成していただける協業先、事業展開を共同できるパートナーを 企業、フリーランス、個人に関係なく募集しています。お気軽にお声がけください。
以上